投稿:常田 豊
このままではあなたの家、危ないです!|港南区 アリキリ
家にとって屋根外壁は雨、風、日射などから
家を守る大事な部分です。
又、自然の過酷な環境にさらされる
厳しい部位でもあります。
マンションと違い戸建て住宅では
この屋根外壁を含めた外部を
ご自分で管理しなければなりません。
と云われても建築の専門家ではない
皆様にとって、どのように管理をすれば
良いかしっかりした知識も無く実は
難しい事だと思います。
世間の噂的な話や業者の営業トークを
鵜呑みにして失敗したり、ご自分の自己流の
判断で状況を悪化させてしまったお客様に
出会うこともよくあります。
今回は私が最近体験した3つの現場を
例題にして、現場で何が起きていたのかを
ご紹介しながら正しい住宅維持管理の
ポイントをご紹介して行きます。
1.屋根塗装の「縁切り」がされていない現場・・・
・・・最初にご報告させて頂く現場は
横浜市港南区の戸建て住宅で、
築40年弱の2階建て木造住宅です・・・
屋根はカラーコロニアル葺き、外壁は
モルタル左官仕上げという一般的な仕様です。
こちらの家は3年前に他の業者さんが屋根と
木部の塗装を行ったそうですが、
屋根塗装の方法に問題があり、塗装浮き上がり
残念ながら3年前の費用が無駄になってしまいました。
1)屋根塗装の問題点とは・・・
こちらの屋根塗装の問題はごく初歩的な
事なのですが、塗装の際に屋根材と
屋根材が重なり合っている部分に
たれ込んできた塗料をカットして、
屋根材の重なり部分に隙間を作る
「縁切り」と言う作業がされていなかった
と言う点です。
2)なぜ縁切りが必要なのか・・・
この、縁切り作業は、屋根瓦の内側に
吹き込んだ雨水がスムースに抜けて
雨漏れを防ぐとか、屋根材に含んだ
水分を放出させる等の役割があります。
3)足場掛けは「高所点検のまたとないチャンス」・・・
今回、外壁の塗装を依頼されて足場を
掛けました。
当社では外壁塗装で足場を掛けた時には
通常では点検の出来ない、屋根、軒裏ほか
高所部分の点検確認を行う様にしています。
現場を色々確認して、最後に屋根を見てみると
写真のようにカラーコロニアル瓦の
重なり部分が塗装ですっかり塞がれていました。
試しに,一ヶ所縁切りを行った所、
周辺の塗装が一緒に剥がれてきてしまいました。
これも写真で見て頂くと分かりますが、
塗り替えた塗装部分からではなく
コロニアル瓦の素地部分から
剥がれてしまっていました。
【重ね部分への塗装のたれ込み】
【屋根塗装の剥がれ】
4)塗装が剥がれた原因・・・
原因に関しては塗装屋さんとも話しを
したのですが、私の意見とも一致した内容でした。
その原因は、棟板金などから吹き込んだ
雨が逃げ場が無いので長時間コロニアル瓦と
防水シートの間に滞留し、その結果
カラーコロニアル瓦の裏面から水を吸い上げ、
その状態で天気が回復して日射を受け、
瓦内部の水分が蒸発する際に塗装を
押し上げた・・・と言う事だと考えられます。
5)愛用の水分計が役に立ちました・・・
それではと言う事で、私の愛用の水分計で
コロニアル瓦の含水量を計ってみました。
見づらいと思いますが写真を見て下さい。
正常な状態のセメント系材料の含水量は
3~5%前後に表示されますが
このカラーコロニアルでは、約12%と云う、
高い水分量の数値になっていました。
(右側の数値)
6)同じ現象は門塀などでも発生する・・・
話が少し横にそれますが、外を歩いていると
塗装仕上げの門塀で塗装の表面が
膨らんで「コブ」のようになっているのを
見かける事があります。
これも同じ原因で、ブロックやコンクリートなどで
出来ている門塀では地面から水分を吸い上げ、
日射によって内部に発生した水蒸気が塗装の膜を
押し上げてしまうと言う事です。
こちらの原因は「水蒸気を逃がす特性を持った塗料」で
塗っていなかった事。
又は、「蒸気を逃がす為に裏側は塗装しない」等の
対策がされていない事です。
住宅の基礎部分は塗装をしないと言うのも
そう言う事もあるようです。
お客様から見で、モルタルのままで・・・
と言う話もでますが、ここはプロとして
しっかり説明すべき内容だと思います。
7)もう少し脱線話が続きますが、お付き合い下さい・・・
そうは云っても、リフォームの悩ましさは前の
業者が間違った施工をしてしまっている
ケースも多々あると云う事です。
以前、門塀の塗装で私が経験したことです。
門塀は裏も表も既に水蒸気を通さない塗料で
塗装がされていました。
こうなってしまうと塗膜を完全に剥がすのは
事実上不可能です。
そこで私が考えたのは、門塀の裏側に
穴を開け水蒸気を逃がすガラリを
取付けるという方法です。
私も初めての試みでやったことがありませんでしたが、
今のところ塗膜が膨れてきたと言うクレームは
頂いていません。
土に直接触れている土留めのブロックや
擁壁などの塗装は避けるか、どうしても行うならば、
それ専用の塗料で行う事です。
8)屋根に話を戻します・・・
コロニアル屋根の維持管理は、10年ごとに
2回までは塗装で大丈夫ですが
その際には縁切りを行うか、最近はタスペーサー
と言う専用のスペーサーが
販売されているのでこれを使うとよいと思います。
縁切りだと、やり方によっては隙間が少なく、
毛細管現象で水の浸透が考えられるそうです。
【タスペーサー挿入作業】
又、われわれ管理者側からすると職人さんが
どこまで縁切り作業を行ったのか
確認が難しいと云う事もあるので、安心感からしても
タスペーサーを挿入する方が好ましいと考えています。
但し、費用は少しかかります。
9)なぜこうした誤った施工が行われるのでしょうか・・・
こうした事が起こる原因としてはいくつかの事が
考えられます。
●一点目は施工業者、職人さんの知識及び経験不足・・・
私はリフォームに必要な知識は80%以上が
経験から学ぶ事だと感じています。
建築士等の受験勉強やその他の資格試験の為に
勉強を行ったとしても身に付ける事が出来るのは
実際に必要な知識の20%くらいではないか
と感じています。
そうした点では新築工事が中心でリフォーム経験の
少ない会社や担当者ではやったことのない事例に
ぶつかる可能性も大いにあると考えられます。
同じ建築の中でも新築とリフォームでは
天と地ほどの差があるのです。
●二点目は職人さんの質の問題です・・・
腕が良く仕事にプライドを持ち真摯に
取り組んでいる職人さんが少なくなっています。
「もっとうまくなりたい、もっと出来る様になりたい」、
日々そうした思いで仕事をしないと成長はしません。
ところが、現実の建築職人さんの環境は
モチベーションが上がり難い状況が多くあり
良質な人材の確保が年々難しくなってきています。
●三点目は業者間の価格競争の問題です・・・
リフォーム業界は思いのほか、価格競争が
厳しい業界です。
業者も安くないと受注が出来ないと言う
恐怖感からか提案したい事があっても、
余計な提案をして他社より高いと云われないように
なるべく安くなる提案を重視していることも
多いと思います。
それは、私も含め誰でも同じ気持ちを
持っていると思います。
私は「本当はこちらの提案が良い」と思っている場合には、
ご契約を頂き、打ち合わせ等が進み少し信頼関係が
出来てから改めてお客様に提案の趣旨を
もう一度、お話しさせて頂き他の選択肢も
ご紹介させて頂く場合が有ります。
10)すみません再び脱線させて下さい・・・
「職人さんの質」に関して少し話させて頂きます。
少し、大きな話になりますが、職人さんの
人数も減り、質も下がったという背景には
職人さんの社会的、経済的な地位が
低くなった事が関係していると私は考えています。
昔のように、職人さんが尊敬され収入も
そこそこだった頃は、「なり手」もあったようですが、
今では、「安い、大変、不安定」で
社会的な地位も低いとなったら、「なり手」が
無くて当然です。
特に建築に係わる職人さんは肉体労働が
要求されます、「肉体を使って働く」
と言うことが日本中で軽視されています。
最近ではスポーツが見直され、注目を
浴びるようになってきましたが、一般の仕事の
場でも肉体や手先を使って働く分野が
もっと評価されても良いのではないかと思います。
世の中、頭脳プレーヤーだけでは成り立ちません。
体を使い、汗をかいて働くことを
すばらしい事だと評価する社会にして行かないと、
将来、私たちの家を直してくれる職人さんが
日本から消えてしまいます。
われわれが生活して行く上で職人仕事は
必ず必要になってきます。
特に若くて体力のあるうちは体を使って
社会のために役に立つと云う事も
大事だと思います。
家庭でも、学校の勉強はあまり好きではないけれど、
なにか物を作っていると夢中になっている子供は
沢山いるのではないでしょうか。
そういう子には親が進んで職人さんになる事を
進められる社会になると良いですね。
なにも全員が大学に行く必要などないわけですから。
2級建築士
一級管工事施工管理技士
マンションリフォームマネージャー
代表取締役 常田 豊
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