投稿:常田 豊
建築士から見た失敗しない外壁塗装|港南区 アリキリ
2年ほど前に書いた戸建て住宅の
外壁塗装リフォームのブログを
リニューアルしました。
読みやすくなったと自負しています。
ご興味のある方は是非読んでみて下さい。
みなさんにお伝えしたい現実的な
着眼点が満載です。
戸建て住宅にお住まいの方ならば
どこかのタイミングで外壁塗装を
行わなければならない事は
ご存じだと思います。
しかし、いつどんなやり方で行うかを
正しく理解している方は少ない様に
思います。
このブログでは外壁塗り替えの
基本知識とは、現実に起きている
問題点をお伝えします。
ブログを読んだ皆様が無駄な出費を
せず、且つ、失敗の無い外壁リフォームが
出来る事を願い書きました。
少し長いですが、お付き合い下さい。
1.外壁塗装の基本・・・
●耐用年数と状況
外壁塗装の耐用年数とは太陽の紫外線で
塗膜が分解され粉状になり膜機能が
なくなる事と考えて下さい。
この現象を『チョーキング』とも言います。
チョーキングは写真の様に手のひらで軽く
壁面をこする事で確認出来ます。
写真の様に白い粉が付けばチョーキングが
起きていると言う事です。
外壁塗装の機能は『雨の遮断と美観』ですが
チョーキングが起きるとツヤがなくなり
水切れも悪くなり、水の吸い込みが
起き下地材が傷んで来ます。
●塗料の種類と耐用年数
ここで言っている耐用年数とは
紫外線による劣化の事で、
化粧品のVU機能と同じです。
現在一般の住宅塗装に使用される
塗料は
・ウレタン樹脂塗料
・シリコン樹脂塗料
・フッソ樹脂塗料
の3種類です。
耐用年数は上記の記載順で長くなり、
・ウレタンが8年
・シリコンが10年
・フッソが12年
位と考えられます。
フッソはまだ普及率が低く
一般にはウレタンかシリコンを
使用する場合が多いです。
現在ウレタンとシリコンの価格差は
さほど大きくないので当社では
基本的にシリコンを使用しています。
尚、年数のバラツキは、立地条件、
下地材、塗料の種類、施工の
善し悪しによって変わって来ます。
2.耐用年数と剥がれ・・・
塗料自体の耐用年数とは別に塗った
塗装が剥がれる事が良く出て来ます。
これは塗料の付着力が弱くなり
剥がれるのですが、その原因は
1)下処理不良など施工上の問題
2)下地の含水問題
3)施工後のキズ
4)温度変化による変形の繰り返し
5)下処理不良
等が考えられます。
下処理不良など施工上の問題とは、
硬化剤の配合の誤り、撹拌不足やケレン、
目荒らしなどの下地の処理の不足など
職人さんの認識不足や手抜きが
考えられます。
今の塗料は化学製品なので、
化学反応で性能が出て来ます。
正しい配合や撹拌がされないと
正しい性能が発揮されません。
下地の含水問題とは、塗装面の
裏側に何らかの原因で水が
廻っている状態です。
例えばサイディング壁面の見切り
部分から水の浸透が起きている
場合には含水によりサイディング材
の水分量が恒常的に高くなり、
結果塗装が剥がれる状況です。
施工後のキズとは塗装面が何かの
原因でキズ付き、そこから水が染みこみ
塗装を剥がして行く事です。
温度変化による変形の繰り返しは
金属面によく見られるのですが、
直射日光の温度上昇による、金属面の
変形が繰り返されることで塗装が
剥がれてしまう事です。
上記は下地材料の特徴や建物の
構造的な事とも関係が有り
塗装工事だけでは解決出来ない
場合も多多あります。
3.外壁塗装で失敗する原因・・・
多くのお客様から外壁塗装で
失敗した話を伺います。
塗装工事は簡単で誰がやっても
同じ、安ければ良いと思っている事が
原因だと思います。
又、塗った直後は誰がどのような方法で
行っても綺麗に見えるため代金を
払ってしまい半年後~数年後に問題が
出て後悔するのも特徴です。
実は外壁の塗り替えは大変難しく
リフォームの中でもクレームの
多い業種だと思います。
既存に塗ってある塗料との相性や
下地材など十分な知識と経験がないと
多きな失敗になる事もあります。
外壁塗装はこんな事が有るので
身元のはっきりしている施工業者に
頼むのが絶対条件です。
4.木部・鉄部は寿命が短い・・・
破風板や窓回りの木部、窓格子や
ベランダ格子など一部に鉄金属が
使用されている事が有りますが
木、金属、樹脂などの塗装は
きちんとやっても、状況によっては
2~5年位しか持たないと事が有ります。
原因は上記の剥がれです。
木部は塗装面以外から自然に含水と
乾燥を繰り返します。(写真参照)
その影響で塗膜の寿命が短いと
考えられます。
又、金属面は塗装時の目で見えない
穴(ピンホール)やキズからの浸水が
原因で剥離やサビによって寿命が短い
と考えられます。
5.私の経験した失敗塗装の事例・・・
私もリフォームを始めた最初の頃は
塗装屋さん任せでどんな塗料を
どこに塗るのか指定もせず
行っていました。
ところが横浜市内の塗り替え現場で
金属屋根の塗料が塗ってまもなく
剥がれてしまうと言うクレームが
起きました。
原因を塗料メーカーに調べてもらうと、
上に塗った塗料の溶剤(シンナー)が
強すぎて、既存の塗膜を溶かして
いた事が原因でした。
この件は職人及び私の知識不足が
原因でした。
もう一件は塗ってから2~3年程で
屋根塗装が剥がれると言うクレームが
起きました。
これは塗装職人の手抜きでプライマーと
云う既存部分と塗料の密着力を高める
下塗りを行わなかった事が原因でした。
2つケースではお客様に大変ご迷惑を
お掛けしてしまいました。
両件ともお客様の了解を頂き
しっかり手直しをさせて頂きました。
このように塗装工事はすぐには
現れてきませんが、正しい施工を
行っていないと十分な寿命性能が
発揮されないことが起きます。
6.下塗り材が重要な訳・・・
保護膜としての機能では下塗り材の
性能が大きく影響します。
壁材などセメント系の場合には
ひび割れと付着に対応する下塗り材を
使い壁面からの浸水を防ぎます。
当社では通常微弾性を使いますが、
ひび割れが気になる場合には
より対応力のある弾性の
下塗り材を使用します。
この場合には上塗り材も弾性下塗り材に
対応できる物を選びます。
鉄部は通常、下塗りに一般のさび止めを塗り、
仕上げの塗料を塗ります。
環境条件が厳しい場合や長持ちさせたい
場合にはより性能の良いエポキシ系の
サビ止め材を用います。
ちなみにアリとキリギリスでは
関西ペイントの2液エポキシ系
サビ止め塗料のスーパーザウルス
と言うかなり上級のサビ止め材を
基本仕様にしています。
おそらく普通のサビ止めの倍くらいは
持つのではないかと思います。
但し、塗料の価格も一般のサビ止め材の
3倍以上します。
エポキシ系のサビ止め材は付着も強く、
塗膜も強いので優れた下塗材だと思います。
【カンペのスパーザウルス】
7.究極の施工管理は良い職人さんを使う事・・・
手抜き問題に関して、施工管理でお金を
頂いている私たちが安易に難しいと云うのは
おかしな話なのですが、現実には施工中
現場に張り付いて見ていることも出来ません。
写真に記録を残す、材料の残り具合を
確認するなど色々やっていますが、
悪意を持ってやられると防ぎようが
無いと言う部分もあります。
究極の施工管理は「信頼出来る職人さんを
使い仕事を行う事・・・」かも知れないです。
信頼出来る職人さんと仕事をするのは
施工管理者としても安心ですし、
お客様にとっても大きなメリットになります。
良い職人さんを束ねると事がリフォーム会社の
生命線だと思っています。
8.木部が酷く傷んいる場合の対処法・・・
比較的古い建物では破風板、軒裏、窓回り
などに木を使用しているケースがあります。
木部の傷みがひどくなった場合には
交換するのでは無く、写真の様に
ガルバ鋼板で巻く方法が有ります。
この方法はコストが比較的安く、
耐久性も有りお奨めです。
【破風のガルバ鋼板巻きと軒裏貼り替え】
最近の住宅は破風板や軒裏材に
繊維セメント系の材料を使用しており
窓回りも木部な無いので上記の問題は
少なくなってきています。
9.建物の専門家による定期点検を・・・
10年毎の外壁塗装の際の足場掛けは
塗装工事のためだけではなく建物の
外部点検にも利用しましょう。
いつもは確認出来ない高所部分の
点検を専門家にしてもらう事です。
人間の定期検診と同様に朽ち始めた部分が
早期に発見できれば大きな問題になる前に
対処出来ます。
又、問題点が見つかった場合でも足場が
掛かっているので、比較的少ない費用で
直すことが可能です。
アリとキリギリスでは熟練の技術者が
この点検を行います。
もし、将来的に問題が出そうな場合には
『住まいのカルテ』に記録を残しますします。
【定期点検中の筆者】
10.屋根も一緒に塗装をしましょう・・・
外壁塗装時に『屋根の塗装しなくていいよ』と
おっしゃるお客様がいます。
屋根材の種類によりますが、
多く使用されているカラーコロニアル系の
屋根材は塗装が必要です。
実際には屋根の方が日射がきつく、
外壁より寿命が短くなります。
カラーコロニアルの屋根の塗装を
放っておくと塗装の膜が完全になくなり、
雨が降ると繊維セメント材が水分を
吸いこみ、晴れると水分を吐き出す事を
繰り返し、徐々にもろくなり
コロニアル瓦自体の寿命をとても
短くしてしまいます。
【塗装の期間を開けすぎたコロニアル屋根】
金属屋根の場合にも考え方は基本的に
同じなので、壁の塗り替えと同時に
行う様にしてください。
11.サイディングはコーキング工事が必要・・・
外壁がサイディングの場合にはコーキングの
打ち替えが必要になります。
コーキングはサイディングとサイディングの
ジョイント部分や窓などの開口部分の回りに
打って有ります。
コーキングは寿命が来ると隙間が出来たり
硬くなって止水効果が無くなります。
コーキング材は塗装同様8~10年の
寿命とされているので、塗装と同時に
行う必要があります。
コーキングは雨漏れに直接関係する
部位でサイディング壁にとって大変重要です。
*コーキング作業写真
12.コーキング部分の汚れの原因・・・
たまに、建物の壁部に汚れのライングが
くっきり出ている家を見ることが
ありませんか?
あれはブリードと云ってコーキングの上に
塗装を行うとコーキングの柔らか成分が
塗膜に染み出ることで塗膜に汚れが
付く現象です。
これはブリードオフプライマーを
塗るとか、ノンブリードコーキングを
使用すれば防ます。
この汚れも塗装をしてすぐには発生しません。
数年すると汚れのラインガはっきりと
目立ってきます。
悪徳な手抜き業者はこんな所も手を
抜くので注意が必要です。
【ブリードオフプライマーとノンブリードコーキング】
13.悩ましいカラーコーディネートに新手法・・・
アリとキリギリスは大手塗料メーカーの
関西ペイントが主催するリフォームサミット
と云う研修会に参加しています。
関西ペイントの施設で3ケ月毎に
丸一日掛けて座学と実技を行います。
大変ためになる研修会です。
前回の研修では塗装やコーキングの
基本や不具合塗装の原因などの勉強や
新しい塗装方法の実習などを行います。
その一つでアナログなのですが大変直感的で
分かりやすいカラーコーディネート方法が
紹介されました。
早速アリキリでも採用して見ましたが
とても好評なので紹介します。
今まではCADで描いた外観図面に
着色したりしてご確認頂いていたのですが、
『ファミリーカラーシュミレーション』と
いう方法は外観写真の塗装する部分を抜いて
クリアシートに印刷するという方法で
専門の会社がシートを作成してくれます。
そのクリアシートに指定色台紙を当てて
実際の出来上がりを想像すると言う物です。
すごく良いと思ったのは瞬時に他の色と
入れ替えて比較出来る事です。
せっかく塗り替えるのだから今回は
少しイメージを変えたいと思っても、
なかなかイメージがつかめないのが
現実でした。
私もやってみましたが実際の色見本を
使ってA4サイズという比較的大きなシートで
確認できるのでわかりやすいと思います。
是非一度お試し頂きたいと思います。
使い方に関しては動画にアップしましたので
参考にして下さい。URLは以下です。
以上です。
大変長いお時間お付き合い頂きまして
ありがとうございました。
一級管工事施工管理技士
2級建築士
マンションリフォームマネージャー
代表取締役 常田 豊
記事タグ:横浜 リフォーム|建築士から見た失敗しない外壁塗装|(株)アリとキリギリス
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