投稿:常田 豊
失敗しないマンションリノベーション | アリキリ
最近は中古マンションを購入して大規模なリフォームをして住む、又は、リフォーム済の
中古マンションを不動産業者が販売するなど、マンションリノベーションが大人気で、横浜でも多くなっています。
新しい、古いと言う価値観だけではなく、限られた予算内で、交通の便や床面積など
実用的な面を重視するのは合理的で私も大賛成です。
しかし、中古と新品という以外に重要な性能や寿命の違いがある事も知っておいて頂きたいと思います。
それは建物の基本性能に係わる事です。
その中でも今回は主に住戸内に限定して話しをさせて頂きます。
これから物件を購入される方や、既に購入して、問題を感じていらしゃる皆様にも何か良いヒントや
気づきになれば幸いです。
1.中古マンションの問題点・・・
1.断熱工事不足問題
2.非断熱窓問題
3.配管劣化問題
4.電気容量不足問題
等が重要問題です。
上記の問題の中には、建物全体(マンション管理組合)として考えないと解決出来ない問題と
個人がリフォームやリノベーションを行うときに解決出来る問題があります。
●断熱工事問題・・・
最近は省エネの観点から断熱に関心が向けられていますが、築20年以上のマンションでは
断熱不足の場合も多くあります。
断熱材の不足は体感的には暖房を強くしたり、少し厚着をすれば良いですが、
大きな問題はこの事で『カビが発生する』事です。
断熱不足は壁の内部で結露が生じ、それが原因でカビが発生します。
詳しくは、『カビと結露でお悩みの方専用のホームページ』をご覧下さい。
(写真は現場調査の際に撮影したカビ)
今年の春に一つの気になるご相談がありました。
ご相談は2~3年程前にリノベーション済みのマンションを購入されたお客様からで、
今年に入り、カビと結露がひどく目立ってきたというものでした。
当社の『カビ結露防止の記事』をご覧になり、かび結露の原因や関係をお知りになってのご相談でした。
建物は築29年のマンションですが、調べてみると原因は断熱不足でした。
結局90万円弱の費用を掛けて、当社でカビ結露防止の断熱リフォームを行いました。
オイルショック以降、国は省エネ政策の中心にマンションや戸建て住宅の省エネ基準を強化してきています。
その結果、新築マンションでの断熱は、壁天井の他、窓やドアを含めしっかり行われています。
中古マンションではどうかというと、私が経験している限りでは築25~35年のマンションにおいては
残念ながら現在のマンションのような断熱工事は行われていません。
(*上の写真は断熱材がありません)
築35年位では断熱が全くないものも多く、築30年位でも気持ち程度の厚みの建物が多いように思います。
(*上の写真はア3㎜程度の断熱材です)
その結果、古いマンションでは、断熱不足による結露が原因と思われるカビの発生が多く起きています。
断熱不足は部屋が寒いとか、暖房費が掛かるという事だけではなく結露によるカビの発生を招き、
汚いし健康にも問題をもたらします。
対策としては内壁材や天井材を撤去し、断熱工事を行う事で大きく改善されますが
工事はかなり大掛かりになるため、
その部分だけ簡単にというわけには行きません。
詳しくは、『カビと結露でお悩みの方専用のホームページ』をご覧下さい。
アリキリでは樹脂系断熱材を設置する方法と発泡ウレタンを吹き付ける2通りの方法で断熱工事を行っています。
効果、費用の点で発泡ウレタン吹き付けの方が良いのですが、規模によっては樹脂系断熱板
を取付る方が適する場合もあります。
下の写真はウレタン吹き付け工法の様子です。
アリキリではさらにこの上にポリフィルムを貼り生活水蒸気の侵入を防いでいます。
尚、間違っても、グラスウールなどの繊維系の断熱材を、結露発生の可能性のある部分に
使用する事は避けなければなりません。
安価で良いのですが、同材料は変形が多く、取付けの際にコンクリート壁との間に隙間を作ってしまう
可能性が高く、逆効果になる事が考えられます。
又、何かの原因で梱包が切れそこから結露水が侵入してはなんともなりません。
しっかりした結露防止の断熱工事を行った後に、内装を行えば、かび、結露の発生はほとんど無くなり、
先の例のような無駄は起きてきません。
尚、リノベーションと一緒に行った場合の吹き付け断熱の費用は30~40万円程度で済むと思われます。
中古マンショのリノベーションや大規模リフォームでは断熱工事が必須と言う認識が早く世間の常識に
なってくると良いと思っています。
尚、カビ結露防止のリフォームは意外に難しく、単に断熱材を入れれば良いと言うものではありませんので、
原理がわかっていて施工実績のあるリフォーム業者が行わないとかえって状況を悪くする事がある事も
ご承知置き下さい。
●非断熱窓問題・・・
結露防止に関しては窓もポイントになります。
古いマンションは今のマンションのような断熱サッシではなく冬場にはサッシの枠にも
ガラスにも結露が出来てしまいます。
しかし、内窓サッシを取り付けることで、今のマンションと同じ様な断熱性能を持たせることが出来ます。
内窓サッシは、結露防止にも、冷暖房効果にも大変効果的です。
窓が2重なので面倒だとか、うっとうしいと言う話も有りますが、取り付けたお客様からは大変好評です。
全室内窓サッシにされたお客様からは、
『日曜日の午前中、数時間エアコン入れただけで一日中快適だった・・・』とか、
『道路の音が気にならなくなった』と言う、当初の意図以外にもメリットが有り喜んで頂いています。
●カビ結露、内窓サッシのまとめ・・・
断熱に係わるカビ結露問題は、見た目の事ばかりではなく、健康や木部造作を
痛める事にも大きな影響があるので、これから真剣に考えなければいけないと思います。
壁内の結露は住んでいる方にも壁の裏側の事で見えないものですからピント来ないかも知れませんが
実際には冬場の3ケ月間のほとんど毎日、壁裏では結露が発生して濡れています。
云ってみれば、冬場は毎日、雨漏れしているようなものなのです。
そして、お部屋の空気中には見えないですがカビの胞子が飛んでいて、吸い込む可能性が
有ると言うのは素人の私でも大変な事のように感じます。
特に小さい子供さんや、高齢者にとっては抵抗力が無いだけに怖い話です。
こうした事に真剣に取り組んでいる不動産業者やリフォーム業者も当然多くいると思いますが、
中にはそのような問題意識を持っていない業者多くいます。
実際に住む皆さんが、まづはしっかり意識を持って頂き、業者さんにもその問題をぶつけてみて下さい。
3.配管劣化問題・・・
築25年~築30年を迎える多くのマンションがリノベーションマンションの対象になってきます。
この年代のマンションは現在、配管の更新工事問題の渦中にあり、計画中の建物もあるし、
既に完了しているマンションもあるというような状況です。
リノベーションを行うにあたり、配管の更新が済んでいるか、未済みか、という事は大変大きな
問題になります。
なぜかというと、配管更新工事では水廻り部分の床や壁を壊して配管を交換します。
もし、配管更新の事を考えないでリノベーションを行ってしまうと、更新工事の際に、床や壁を大きな範囲で
壊す事が考えられますし、ユニットバスや部屋の中に配管が露出する事もあります。
●購入時には更新工事の件を確認しましょう・・・
ご購入予定の場合には、配管更新工事がどうなっているかをまず確認して下さい。
完了しているならば、どの範囲まで済んでいるのかも確認してみましょう。
マンションの管理組合にはそのようなデーターが残されているはずですから、
資料のコピーなどが頂けると良いと思います。
●30年前の配管と現在の配管・・・
30年前は樹脂配管材も出ていましたが、金属配管が主流でした。
その為に錆びや腐食による漏水が発生しています。
(写真は築30数年の給水管の内部錆び)
現在の配管の多くは樹脂製で、劣化対策として優れています。
(*上:給水用ポリ管、下:給湯用ポリ管と排水塩ビ管)
以上のように昔の配管は30年を目途に交換する必要があるという事と、配管交換は
大変大掛かりだと云う事をご承知置き下さい。
●専用部分の配管と共用部分の配管・・・
マンションの配管の仕組みですが、マンションの配管は立て管と云われ各階を上下に貫いている共有の管と、
そこから分岐して各戸の内部に配管されている管に別れます。
マンションによっては立て管と住戸内の配管を一緒に更新している建物もありますが、場合によっては
立て管だけが済んでいると言うケースも有るようです。
立て管、住戸内の両方が完了している場合には、リノベーション工事にとっても
何の心配も問題もありません。
又、立て管だけが済んでいる場合はリノベーション工事の際に住戸内の配管を
やり替えれる事で問題が解決されます。
もし、立て管も住戸内の管も交換されていない場合は、住戸内の配管だけ交換することが出来ます。
そうする事で、立て管交換の際にも最小限の修復で済みます。
但し、立て管交換の時に大きな問題が起きないようによく考えて配管を交換する事が重要です。
●室内の配管を詳しく見てみましょう・・・
配管の種類は、給水管、排水管、ガス配管、給湯管があります。
【給水管・・・】
当時、横浜で使用していた給水管の材質はVLGPで鉄管の内部に塩ビ管が入っていました。
前記の写真のように内部からは錆びが生じ、ネジ部分からは腐食が起き、耐用年数は30年間くらいです。
水道メーター以降が住戸内配管なのでメーター以降を全て交換します。
【排水管・・・】
排水管は、トイレ、キッチン、洗面+浴室の3系統に分かれている場合が多く、
一部は塩ビ管が使用されている場合も有りますが、一般的には金属管なので、
立て管の接続部分までを交換しておきます。
【ガス管・・・】
ガス管は金属管ですが内部を流れているのがガスなのでほとんどのケースで劣化はありません。
不要な管だけ撤去し、使用部分はそのままで良いと思います。
【給湯管・・・】
30年前の給湯管は主に銅管で配管されていました。銅管は腐ることはありません。
緑青が出ているなどの問題が無ければ再使用で問題有りません。
実際には解体した時点で、専門の配管技術者に判断してもらいましょう。
●更新工事の費用負担・・・
マンションの配管更新工事の費用は一般に共有部分の費用は組合の修繕積み立て金で行い、
住戸内の配管は自費で行う事が多いようです。
その為にリノベーションの際に住戸内の配管を交換しておけば、組合の更新工事の際に
住戸内の費用負担は無くなります。
4.電気容量不足問題・・・
25年~30年の中古のマンションに入居しされた方は、電気の容量の小ささに驚くのではないでしょうか。
200Vが来ていればまだしも、100vだけで30アンペアーというマンションも多く有ります。
又、分電盤の回路数も3回路しかない場合も多くあります。
電気容量は個別の問題ではなく、マンション全体の問題で、小さいからと言ってもほとんどの場合
個人レベルでは容量アップは出来ないと思います。
念の為、組合にアンペアー変更が出来るかどうか確認して下さい。
●回路数と配線バランス確認・・・
今すぐ電気容量のアップが出来なくても、将来的に組合工事として行う事は十分に可能性があります。
その為にも、リノベーション時に6回路程の分電盤に変更して、各々の配線にも片寄りが無いように、
配線を改め、将来的に電気容量がアップされた時に分電盤部分だけで切り替え工事で完了出来るように
準備しておきましょう。
これで今回のお話しは終了です。
最後のまとめ・・・
リノベーションマンションの多くは不動産業者が中古マンションを仕入れ、リフォームを行い
新築のようにして、新築マンションより割安感をもって販売することで人気を得ています。
キッチンやユニットバス建具、フローリングなど、購入される方に興味を持って頂ける部分には
費用も力も入れているのでしょうが、
断熱や配管など見えない部分はどうしても後回しにされてしまう傾向があります。
しかし、今回述べてきたような事は地味ですが、購入後の住まいの長期使用に関しては
大変重要な要素であり、リノベーションの時に行わないと後からでは大変な費用が
掛かってしまいます。
ざっくりで申しないですが、
費用的には断熱で100万~130万円
配管、電気で100万~130万円、
合計で200万~250万円の
大きな無駄な費用が発生してくると思います。
出来上がったリノベーションマンションの購入をお考えでしたら、今回のお話の部分が
どうなっているか確認して下さい。
このブログを読んで頂いたが皆さんが、リノベーションマンションで失敗しない為に、
少しでもお役に立てば幸いです。
今回も、最後までお付き合い頂きありがとうございました。
2級建築士
マンションリフォームマネージャー
一級管工事施工管理技士
代表取締役 常田 豊
記事タグ:横浜 リフォーム| 失敗しないマンションリノベーション | 港南区 アリキリ
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